一見すると常に不規則に動き続けているように見える為替相場ですが、よくよく見ると特定のリズムやパターン、典型的な動きなど、特徴的な動きを見せることがあります。

 

このような相場のよくある動きやパターンを知っておくと、今後の相場の展開を予想しやすくなります。

 

窓開けも、そんな為替相場の世界でよく見かけるパターンの一つです。

 

FXの窓開けと窓埋めの理論を知っておけば、24時間常に動き続ける為替相場の世界の中で、勝率の高い時間帯だけを狙って取引ができるようになるので、取引の利益率と勝率が上がります。

 

ここでは窓開けが起こる原因と、窓埋めの理論、そして初心者が窓埋めで稼ぐための手法を紹介します。

 

窓開けとは?

そもそも窓開けとは一体何なのでしょう?

 

窓開けといったら、一般的には窓が開いている状態をイメージするものです。それは間違っていないのですが、ではFXにおける窓が開いている状態とはどのような状況を指すのでしょう?

 

FXにおける窓開けとは、ローソク足と、その次のローソク足との間に生じる空白地帯のことを指します。

ローソク足の終値と、次のローソクの始値は本来同じ価格になるものなのですが、相場が大きく動いていると、たまに前後のローソク足が重ならず、何もない空白が生じることがあるのです。

 

窓開けというのはよほど相場が荒れていない限り、滅多に発生しません。そのため、本来であればいつ窓開けが発生するのかは誰にも予測がつきません。ただし、月曜日の早朝だけは例外です。

 

月曜日の早朝、それも市場がオープンしたばかりの時間帯は、窓開けがもっとも発生しやすいです。

 

窓が開く原因とは?

 

窓が開く根本的な原因は、相場の急変にあります。ごく短い間に相場が激変すると、前後のローソク足との間にギャップが生じ、窓が開きます。

 

ただ、月曜日の早朝にばかり窓が開く原因は、別にあります。

 

まず、なぜ月曜日の早朝に窓が開きやすいのかというと、それは窓が開く前と後との間に土曜日と日曜日の二日分の時間的隔たりが存在するからです。

 

FXの為替相場は確かに24時間365日、いつでも取引が可能です。ただし、一部の隙間もなく、常に取引できるわけではありません。

 

平日こそオープンしている為替市場ですが、土曜日と日曜日の為替市場はクローズすることになります。中東の一部の地域では日曜日であっても取引は可能ですが、日本や欧米では土曜日と日曜日の為替市場はお休みとなります。

 

ただし、為替市場がクローズしているからといって、取引そのものがないわけではありません。先ほど記述したように、中東の一部の地域では日曜日であっても取引はできます。

 

他にも、土曜日や日曜日に為替に影響を与えるようなニュース、例えば大統領選挙や要人の発言、災害などの報道があると、週末であっても取引が盛んになり、為替レートに影響を与えることになります。

 

相場が休日している最中に、為替が大きく変動するようなイベントがあると、月曜日の市場がオープンした直後にギャップが生じ、窓開けが発生することになります。これが月曜日の朝限定で窓開けが生じる原因となります。

 

このように、二日分の時間的隔たりがあるからこそ、月曜日の早朝に窓開けが発生する確率は非常に高いのですが、絶対に発生するとは限らないので注意しましょう。

 

窓埋めの確率

 

月曜日の早朝に窓開けが発生する確率は、土曜日と日曜日にどんなニュースがあったかによります。例えば、土曜日と日曜日の週末に、これといって特に大きなニュースが無いと、価格変動が起き難いため、窓が開かない可能性が高くなります。

 

その反対で、週末に大きなニュースがあると、窓が開きやすいです。特に、アメリカの失業率などの重要な経済指標が発表された翌週の月曜日の早朝は、相場が荒れやすいため、窓開けが発生する確率も高いです。

 

窓開けが発生する確率は、2週間に1回、おおよそで50%くらいでしょう。ただ、相場が荒れやすいシーズンになると、確率はもっと上がるでしょうし、年末のような相場が閑散としやすい時期になると、確率は下がります。

 

そのため、窓開けが絶対に起こるはずだと偏見を持ってトレードをすると、いざ取引をしても窓開けが起こらず、利益を得るどころか、損失を受ける恐れがあります。

 

窓開けを利用したトレードをするのであれば、窓開けではなく、窓埋めを狙いましょう。

 

チャート上に窓開けが発生すると、次に窓埋めと呼ばれるパターンが発生します。この窓埋めの動きを利用することで、効率よくキャピタルゲインを狙うことが出来るでしょう。

 

窓開けが発生した後に窓埋めが発生する確率は非常に高く、だいたい70%ほどの確率で窓埋めが発生します。

 

ただ、リーマンショック後のような相場が激しく荒れている場合、窓埋めの動きが始まるものの、力及ばずに反転し、窓が埋まらないこともあるので注意が必要です。

窓埋めとは?

 

窓埋めとは、窓開けが発生した際に発生する為替相場ならではのパターンです。

 

チャート上に窓開けが発生すると、今後はその窓を埋めるようにローソク足が動くことがあります。

 

例えば、こちらの画像では、ローソク足が下に落ちることで、窓開けが発生しています。一見すると相場が下落しているように思われますが、その後に反転し、価格が上昇しています。

 

その後、価格は窓開けが起こる前の価格帯にまで上昇を続けています。そうすることで、一度は開いた窓が再び閉じ、埋められています。これが窓埋めです。

 

投資家の中には、この窓埋めのパターンを利用して利益を狙うトレーダーが多くいるものです。

 

 

 

初心者が窓埋めで稼ぐための手法とコツを解説

 

窓埋めのパターンを覚えておくと、それを取引に活かすことができます。

 

例えば、1ドル100円だったドル円相場が、窓開けが生じることで、1ドル110円まで上昇したとします。

 

窓埋めのパターンが発生するとした場合、一度は110円まで上昇したドル円相場は、窓を埋めるようにして1ドル100円まで下落することになります。

 

そのため、上昇が終了し、反転するタイミングに合わせてショートポジションを保有、そのまま相場が下落し、1ドル100円まで落ちたタイミングで決済をすれば、キャピタルゲインを狙うことができます。

こちらの画像を参考にするのであれば、まず窓開けが終わるのを待ちます。次に、相場の下落が始まったのを確認した後、新規売り注文を入れ、ショートポジションを保有します。

 

その後、窓が埋まったポイントで決済をすることで、利確することになります。

 

この画像の場合、窓埋めの理論に従うことで、だいたい0.1円ほどのキャピタルゲインを得ることができます。

 

ポイントは、窓が開いた方向とは別の方向に新規注文を入れることです。窓が開いた方向に新規注文を入れると、窓埋めの理論が働くことで、かえって含み損を抱えてしまうので、注意してください。

 

決済のポイントは、窓が閉まった瞬間となります。時と場合によってはもっと動くかもしれませんが、窓埋めの理論に従って取引をする以上、原則としては窓が閉まったらすぐに決済をするようにしてください。

 

この原則に従うと、確かに一回の取引で稼げる利益が限定されるため、大きく稼ぐことはできません。しかし、確実な利益を狙えるので、収益が安定するというメリットがあります。

 

もしも利確のタイミングが遅れると、窓埋めの期間が終了したことで相場が反転し、含み益を失ってしまうかもしれません。それどころか、含み損を抱える危険すらあります。

 

余計なリスクを排除するためにも、窓埋めの理論に従ってポジションを保有する場合には、窓が埋まるのと同時に決済をしましょう。

 

窓埋めが発生した時に新規注文を入れ、窓が埋まった瞬間に決済をする、それが窓埋めを活用した手法となります。

 

 

窓埋めの注意点

 

窓埋めの手法を実践する際には、必ず窓埋めの発生を確認してから新規注文を入れるようにしてください。というのも、窓埋めが発生する確率は100%ではないからです。

 

時と場合によっては、窓開けこそ発生したものの、窓が埋まることなく、そのまま開きっぱなしになることもあります。

 

窓埋めが発生する確率は、だいたい60%から70%といったところです。窓が埋まらないケースもあるため、窓が開いたからといってすぐに新規注文は入れないように気を付けましょう。

例えば、こちらの画像についてですが、確かに窓開けは発生しています。そればかりか、窓開け発生後、一時的に下落し、窓埋めが発生しているように見えます。しかし、その後に相場が反転し、上昇することで、窓埋めが起こりませんでした

 

そもそも窓埋めは、現在のトレンドに逆らう形でエントリーをする手法、要するに逆張りの取引手法です。

 

窓が開くということは、そちらの方向に向かって強いトレンドが発生しているというサインでもあります。そのような事情もあってか、窓埋めが起きた後、本来のトレンドに戻るべく、相場が反転することがよくあります。

 

この窓埋めが失敗した事例などまさにその典型で、窓が埋まらないばかりか、本来のトレンドである上昇トレンドに戻っているほどです。

まとめ

窓埋めは時間との勝負です。長時間にわたってポジションを保有しているにも関わらず、なかなか窓埋めが発生しないという時は、潔く諦め、決済をした方が賢明でしょう。

 

同様に、窓が開きすぎている場合も、窓が埋まらない可能性があるので、取引はしない方が無難です。

 

例えば、窓開けのギャップが100pips以上離れているような場合、たとえ窓埋めが機能したとしても、力及ばずに反転し、窓が埋まらない可能性があります。

 

窓開けが発生したからといって、必ずしも窓埋めも同時発生するとは限りません。

 

窓埋めの手法を利用する際には、本当にこの窓は埋まるのかを事前に検証しておきましょう。