FXでトレードをはじめようと思うけれど、通貨ペアはどれがいいのだろう?」

今回は、誰もが一度は思い浮かべるこの疑問にお答えしていきたいと思います。

ほとんどのFX会社は、少なくとも20~30ほどの通貨ペアを取り扱っています。たしかに、その中から通貨ペアを選ぶのは最初は迷ってしまします。

しかし、一口に通貨ペアといっても、それぞれに大きく異なる特徴があるのです。それを理解したうえで、自分のトレードスタイルに合った通貨ペアを選ぶことは、トレードで利益を上げていくのにも、何より大きな損失を抱えてしまわないためにも大切なことです。

ここでは、それぞれの通貨ペアの特徴や、その人のトレードスタイル合った通貨ペアを、これからFXのトレードを始める人や、トレード初心者の人にもわかりやすくお伝えしたいと思います。

通貨ペアとは2つの国の通貨の組み合わせ

・通貨ペアとは、通貨ペアの表記の意味

FXの取引では、さまざまな国の通貨の中から、利益を上げられそうな2つの通貨を、あらかじめ選んで売買を行います。

通貨ペアとは、この売買する2つの国の通貨の組み合わせのことです。

例えば、米ドルと日本円との通貨ペアの売買であれば、「USD/JPY」のように、米ドルと日本円とを「/(スラッシュ)」で区切り、世界共通で使われる「通貨コード」という略称で表します。

そして、「/」の左側を「基軸通貨」、右側を「決済通貨」と呼び、左側の「基軸通貨」を、右側の「決済通貨」で売買することを意味します。したがって、USD/JPYの表記は、1米ドルを売買するとしたら日本円でいくらになるのか、を表すことになります。

 

USD/JPY=108.500→1米ドルが日本円108円50銭で取引される

 

という意味になります。

では、他に、どんな通貨コードを使うのでしょうか?

次にFXの取引でよく見かける、代表的な通貨コードを表にしてみました。自分が取引に使う通貨コードは覚えておきましょう!

通貨コード一覧

ちなみに、英ポンドの通貨コードは「GBP」ですが、これは英国の正式名「United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland」の「Great Britain」の部分の頭文字を取り、末尾にイギリスの通貨単位であるPound(ポンド)のPを付けたものです。

スイスフランは「CHF」が一般的です。これはスイスの正式名称「Confoederatio Helvetica」にFranc(フラン)の頭文字を組み合わせたものです。

また、「CAD」(カナダドル)は「キャンドル」、AUD(豪ドル)は「オージー」、「NZD」(ニュージーランドドル)を「キウイ」など、ユニークな通称で呼ばれることもあります。

主な通貨ペア

では、次に通貨ペアにはどのようなものがあるでしょう。

取引がよく行われる主な通貨ペアは次のとおりです。

・主な通貨ペア

多くのFX会社が取り扱っている通貨ペアは、20~30といったところです。これらの通貨ペアから、自分に合った通貨ペアを選んでいきましょう。

・ドルストレートとクロス円

FXでは、複数の通貨ペアを、「ドルストレート」や「クロス円」とまとめて呼ぶことがよくあります。いったい、「ドルストレート」や「クロス円」とはなんでしょう?何か、まとめて呼ぶ理由があるのでしょうか?

「ドルストレート」とは、米ドルと、米国以外の国の通貨との組み合わせのことを言います

上の表では、ユーロ/米ドル(EUR/USD)、ポンド/米ドル(GBP/USD)、豪ドル/米ドル(AUD/USD)、ニュージーランドドル/米ドル(NZD/USD)はもちろん、米ドル/円(USD/JPY)も「ドルストレート」に該当します。

ドルストレートは、米ドルと相手国の通貨との関係によって為替レートが変動するので、比較的安定的した動きをし、テクニカル分析が「クロス円」よりし易いのが特徴です。

一方、「クロス円」とは、米ドルを除いた外国通貨と、日本円との通貨ペアのことを指しています。

上の表の、ユーロ/円(EUR/JPY)、ポンド/円(GBP/JPY)、豪ドル/円(AUD/JPY)、NZドル/円(NZD/JPY)、スイスフラン/円(CHF/JPY)、カナダドル/円(CAD/JPY)、トルコリラ/円(TRY/JPY)、南アフリカランド/円(ZAR/JPY)はいずれも「クロス円」です。

FXの相場で、円は直接米ドルと交換されることはあっても、他の通貨と交換されることはほとんどありません。そのため、クロス円の通貨の売買はいったん米ドルを仲介して取引されるのです。

例えばユーロ/円の場合であれば、以下のように2つの通貨ペアを掛け合わせて算出されているのです。

ユーロ/円 = 米ドル/円 × ユーロ/米ドル

これは、クロス円が相手の通貨だけでなく、米ドルの値動きにも影響されることを意味します。

米ドル/円、ユーロ/米ドルがともに上昇しているときは、ユーロ/円は勢いよく上昇し、米ドル/円、ユーロ/米ドルがともに下降しているときは、ユーロ/円は勢いよく下降するのです。どちらかが上昇しどちらかが下降するときは、ユーロ/円は、力が相殺されてどちらに動くかわかりません。

このためクロス円はドルストレートよりは複雑で値動きが荒くなるのが特徴です。ですから、慣れていないとトレードが難しい通貨ペアなのです。初心者の人は、ドルストレートのトレードに少し慣れてから、クロス円にチャレンジするとよいでしょう!

通貨ペアを選ぶポイント

では、FXの取引をはじめるときには、どの通貨ペアがよいのでしょうか。

次に通貨ペアを選ぶときに注意すべき4つのポインをあげてみました。この4つのポイントをよく考えて自分に合った通貨ペアを選べば、きっと効果的なトレードができるはずです。

1.取引量

2.スプレッド

3.情報量

4.トレードスタイルとトレードを行う時間帯

なお、4の「トレードスタイル」については、このブログコラムの「FXで初心者が勝つための4つの戦略とコツをお伝えします!」で、「トレードを行う時間帯」については、「時間帯を制するものはFXを制す!FX初心者が負けずにコツコツ稼ぐためにおすすめの時間帯とは。」に詳しい記事がありますので、そちらもご覧ください!

・取引量

まず、「取引量」が多い通貨ペアを選ぶことが重要です。

なぜなら、通貨ペアの取引量の多さが、相場のテクニカル分析をより確実なものにしてくれるからです。

つまり、取引量の多い通貨ペアでは、多くの市場参加者の意識が相場に反映されるだけでなく、取引量の少ない通貨ペアに比べて、突発的な要因の影響を受けにくくなるのです。そのことが、精度の高いテクニカル分析を可能にしてくれます。

 

世界に目を向けると、「ユーロ/米ドル」と「米ドル/円」の比率が高いことがわかります。そして、日本では、「米ドル/円」がメインの通貨ペアです。世界でも日本でも取引量の多い「米ドル/円」は、FXトレーダーにとって、選びやすい通貨ペアだといえます。

・スプレッド

スプレッドとは為替取引における、買うときの価格(ASK)と売るときの価格(BID)の差のことです。

例えば、米ドル/円において、買値(ASK)が107.103円で、売値(BID)が107.1000円であるとすれば、その差額、0.3銭がスプレッドになります。この0.3銭はFX会社の取り分となり、実は、私たちは売買のたびに、差分の0.3銭を実質的な手数料としてFX会社に払っているわけです。

このスプレッドの差が狭いほど取引コストが少ないため、これからFXを始めようとする人や初心者の人は、スプレッドが狭い通貨ペアを選ぶことをお勧めします。

特にスキャルピングに挑戦しようと考えている人は、十分に注意が必要です。自分が行うトレードの回数とそれにかかるコストを、あらかじめ、ざっくりと計算しておくとよいでしょう。

参考:最強の為替サイト ZAI FX!

スプレッドが最も狭いのは、米ドル/円で、ユーロ/米ドル・ユーロ/米ドルなどがそれに続きます。また、FXの会社によってもスプレッドは少しずつ異なりますので、FX会社のホームページなどで確かめてみるとよいでしょう

・情報量

FXでは、多くの情報が得られる国の通貨を、通貨ペアとして選ぶことも重要です。

情報をより多く得ることで、トレードのときに大きなリスクを回避したり、またとないチャンスにつなげることもできるからです。

為替の値動きは、世界の国々の政治や経済事情、世界情勢などに敏感に影響を受けます。多くの情報を得ることによって、値動きを予測し、トレードの機会を見極める姿勢が必要です。

一般的にメジャー通貨と呼ばれる、米ドル・ユーロ・ポンド・円・スイスフラン(豪ドル・カナダドルを含める考えもあります。)には、多くの人が関心を寄せています。そのため、ネットニュースやテレビ・新聞・経済誌などで豊富な情報を得ることができます。

これらメジャー通貨を含む通貨ペアは、あらゆるスタイルのトレードに向いている通貨ペアだといえます

通貨ペアの特徴

・米ドル/円

米ドル/円の取引量は世界第2位であり、日本で最も人気のある通貨ペアです。ユーロやポンドといった欧州の通貨に比べ、緩やかな価格変動をするのでトレードのしやすさがあります。

また、スプレッドは他の通貨ペアに比べて最も狭く、現在はほとんどのFX会社が0.2銭で行っています(2020年6月現在)。デイトレードやスイングトレードはもちろん、スキャルピングにも向いているといえます。

さまざまなニュースが数多く取り上げられ、FXに特化した情報も盛んに発信されている、情報量の豊富な通貨ペアです。米国の経済指標や株価、諸外国との政治的・経済的関係、時には大統領のツイートにも影響を受ける通貨ペアです。

23時(夏場は22時)からのニューヨーク時間はいうまでもなく、欧州時間や東京時間にも売買が行われるので、1日を通してトレードができる通貨ペアであるといえます。

このような米ドル/日本円は、初心者からベテランまで、専業・副業を選ばない万人向けの通貨ペアといえるでしょう。

ユーロ/米ドル

世界第1位の取引量を誇る通貨ペアであり、市場参加者の多さを背景に、突発的な要因の影響を受けにくく、テクニカル分析がしやすい、すなわちトレードがしやすい通貨ペアです。初心者にもお勧めの通貨です。

スプレッドも、米ドル/円に次いで狭く設定しているFX会社が多く、取引コストの低い通貨ペアです。そのため、デイトレードやスイングトレードに加え、スキャルピングの取引にも向いています。

EU加盟国の情報を手に入れることも決して難しくはありません。現在は多くのFX会社が為替や株式の情報を発信しており、ネット上にはFX情報を数多く見かけます。米国の経済指標やECB(欧州中央銀国)の金利政策、また、EU離脱後の移行期間にあるイギリスの問題などの影響も受けやすいので、注意しておきましょう。

東京時間は比較的値動きは緩やかですが、欧州時間にかけて動きが出てくる傾向にあります。ニューヨーク時間に入るとさらに動きは活発になります。そのため、トレードは午後や夜だけといった副業トレーダーにもお勧めの通貨ペアです。

・ユーロ/円

日本では、ユーロ/ドルと同様に、米ドル/円についで人気のある通貨ペアで、十分な取引量があります。スプレッドも狭くコスト面でも良好で、欧州時間からニューヨーク時間にかけて値動きも活発になります。

ユーロ/円の最大の特徴で注意点はユーロ/円がクロス円であるという点です。

繰り返しになりますが、ユーロ/円はユーロ/米ドルと米ドル/円を掛け合わせて計算するため、ユーロ/ドルよりも複雑で値動きが荒くなるのが特徴です。初心者にはこの点でややリスキーな通貨ペアといえます。

・ポンド/円

日本では人気の高い通貨です。他の通貨ペアに比べて、ボラティリティ(価格の変動幅)が高いことが人気の理由です

ボラティリティが高いことによって、場合によっては短時間で莫大な収益を上げることができるのです。一方、ポンド通貨が「殺人通貨」と呼ばれるように、一瞬にして、退場を余儀なくされるような、致命的な損失を被ることもあるのです。

米ドル/円やユーロ/円よりも値動きが激しいので、チャンスも多いのですが、その値動きの激しさゆえに、しっかりとした資金管理をし、堅実な戦略を立ててトレードに臨まないと、一気にロスカットされたり、損切にあってしまうリスクの高い通貨ペアです。

経験を積んだ上級者向きで、初心者トレーダーは敬遠したほうが無難でしょう

・豪ドル/円

オーストラリアの通貨は、世界の市場でも5本の指に入る流通量があります。金利の引き下げにともなって、スワップポイント狙いのトレードの魅力は薄れましたが、他にも魅力のある通貨ペアで、FXの売買も盛んにおこなわれています。

情報としては、中国や米国の情報が重要になります。なぜなら、貿易相手国として中国や米国の影響を、とても強く受けやすいからです。特に中国や米国の経済情報に注意を払いましょう。

スプレッドは現在(2020年6月)、0.7銭ほどで、あまりスキャルピングには適していません。しかし、一度トレンドが発生すると、比較的長く続く傾向があるので、デイトレードやスイングトレードに向いているでしょう。

また、オーストラリアの市場は日本時間の朝8時(サマータイム時は7時)に開くので、早朝からトレードが可能な人には、オーストラリアドルやNZドルを使った取引も面白いのではないでしょうか。

・トルコリラ/円

トルコリラ/円は、あまりなじみのない通貨ペアかもしれませんが、南アフリカランド/円などとともに、スワップポイントを狙ったトレードに適した通貨ペアです。

スワップポイントとは2つの通貨の金利差相当分このことで、例えば、低金利の日本円を売って高金利のトルコリラを買うと毎日金利差相当分をもらえることになります。

マイナー通貨を長期間保有するトレードになりますので、値動きの乱高下や政策金利の変更がある可能性も考慮に入れておく必要があります

まとめ

さて、トレードに使う通貨ペアは決まりましたか?

        1.取引量は多いほうがよい!

        2.スプレッドは狭いほうが低コスト!

        3.情報は豊富なほど有利!

        4.自分のトレードのスタイルは?  自分がトレードできる時間帯は?

ポイントはこの4つでした。

これからFXを始めようと思っている人、初心者にお勧めは、何といっても米ドル/円です。

最初は複数の通貨ペアを持たずに1つにしましょう。なぜなら、通貨ペアを複数持っても、個性豊かな通貨ペアたちに、最初はこちらがついていけないからです。少しずつ慣れてきたら、ユーロ/米ドルやユーロ/円などに挑戦してみるとよいでしょう!

自分に合った通貨ペアを味方につけて、自分らしいトレードに挑戦していきましょう