男性 腕組み

トレンドフォローが大切だって聞いたから、トレンドを見つけてちゃんと順張りしたのに、とたんに逆方向に値が動いて損切されちゃった。どうしてだろう?

女性

それはもしかしたら、波の動きが良くわかっていないからじゃないかな!

男性 疑問

えっ! 波の動き?

 

前回は、環境認識のポイントの1つめとして、「トレンドの見極め方」についてお話ししましたが、今回は、2つめとして「大きな値幅が取れる相場の見極め方」についてお伝えしようと思います。

 

特に、ここでは、大きな値幅を取るために必要となる、値動きの「波」の見方を中心に話を進めたいと思います。

 

これまでどおり、FX初心者の方にも、できるだけわかりやすく説明していきたいと思います。前回のコラムと合わせて読んでいただき、環境認識のスキルを上げていきましょう!

 

 

値動きの「波」について

仮に、皆さんが、トレンドフォローの手法でエントリーするとして、できるだけ大きな値幅を取るためには、どのような点に気を付けますか?

 

おそらく、多くの人が、できるだけトレンドの初めほうでエントリーし、終わりあたりで利益確定しようとするのではないでしょうか。

 

確かに、そうすることで、結果的に最大限の値幅が取れて、大きな利益を上げることができます。

 

では、どうすれば、トレンドの初めや終わりがわかるでしょうか?

 

ご存じのように、チャートの値動きはすべて波でできています。大きな波の中に中ぐらいの波があり、さらにその中に小さな波がありと、これは、どの時間足のチャートでも同じです。

 

そして、実は、値動きの「波」には、ある規則性がみられるのです。

 

そこで、値動きの波の規則性を理解し、波全体の中での、今の波の位置が分かれば、エントリーのタイミングや、利益確定のタイミングが予想しやすくなるはずです。

 

では、値動きの波の規則性について、その特徴を見ていきましょう。

 

エリオット波動理論

エリオット波動理論とは

エリオット波動原理は1930年にアメリカ人のラルフ・ネルソン・エリオットが発見した株価変動の原理です。それを後継者たちが肉付けし、体系化したものが「エリオット波動理論」です。

 

エリオット波動理論は、次の3つのコンセプトから成り立っています。

エリオット波動理論「3つの基本コンセプト

1.「5波動で推進し、3波動で修正する」というのが波動形成の基本的なプロセスである。

2.波は幾重にも重なってフラクタル構造(入れ子状の構造)になっている。

3.波のパターンは5つの基本波形に集約でき、それらのバリエーションを含めた波形の組み合わせによってさまざまな波動が形成される。

 

エリオット波動理論を用いたエントリーと利益確定

まず、エリオット波動理論1つめのコンセプト、「『5波動で推進し、3波動で修正する』というのが波動形成の基本的なプロセスである。」を用いて、トレードの際のエントリーポイントと利確ポイントについて考えていきましょう。

 

1つめのコンセプトの内容を図で表すと次のようになります。

例えば、上昇波であれば、波は5波で上昇(推進)していき3波で下降(修正)するというものです。

 

波は、上昇の波から始まることもあれば、下降の波から始まることもあります。さまざまなバリエーションはあるものの、基本的に5波推進3波修正の波が1つの単位となって繰り返されていき、推進の5波はトレンドを形成します。

 

トレードの際にはこの基本的な波動を頭において、チャートを見ることが重要になってきます。なぜなら、この波動が、エントリータイミング、利確(利益確定)のタイミングの大きなヒントになるからです。

 

また、エリオット波動理論には、「3つの基本コンセプト」とは別に、「主な8つのガイドライン」というものもあります。すべてのガイドラインの紹介は控えますが、今回の話題と特に関りが深いガイドラインが次です。

 

推進波の中でも3波が最も延長しやすく、トレードチャンスを得やすい。また、次に延長しやすいのが5波である。(ガイドライン8「波の個性」)

 

波動の3波めがもっとも延長しやすく次に5波めが延長しやすいのであれば、3波めと5波めを狙ってエントリーすれば、大きな値幅が取れるはずです。

 

したがって、利益確定は、エリオット波動の推進5波を頭において行いましょう。

 

3波に次いで5波が延長しやすいと述べましたが、だからといっていつまでも5波を追いかけるのは危険です。いつ、逆方向に大きく値が動くかは予測できません。第5波は推進波の最後の波にあたりトレンド転換することが多いからです。

 

相場には、長い歴史の中で語られてきた教訓や戒めとなる格言が数多くあります。

 

「頭としっぽはくれてやれ」は、その中でも有名なものです。

 

この格言は、「投資家の心理としては、最安値で買い、最高値で売りたいものだが、底値で買って天井で売ることはほとんど不可能で失敗しがちなので、買う時も売る時も上下は少し残したほうがいい」という考えを表しています。

 

5派で値動きがもみだしたら(細かく上下しだしたら)、利益確定の潮時でしょう!

 

以上を踏まえて、エリオット波動を用いたエントリーと利益確定の手順をまとめてみましょう。

・これまでと逆方向に勢いよく波が出たら、新しい1波であることを疑う。

・調整の2波を確認する。

・波が、1波と同じ方向に動き始めたらエントリー。3波を取る。

・値動きがもみだしたら利益確定する

・調整の4波を確認する。

・再び波が、1波と同じ方向に動き始めたらエントリー。5波を取る。

・値動きがもみだしたら利益確定する。

 

今の手順を図に表すと次のようになります。

 

ダウ理論について

次に、トレンドについて理解するために、「ダウ理論」によるトレンドの考え方を紹介したいと思います。

ダウ理論とは

ダウ理論とは、19世紀の終わりにチャールズ・ダウ(アメリカ合衆国のジャーナリスト・証券アナリスト)が提唱した市場の値動きに関する理論です。全てのテクニカル分析の基礎として現在も多くの投資家に支持されています。ダウ理論は「6つの基本原則」から構成されています。

 

ダウ理論の6つの基本原則見出しタイトル

1.価格 (平均株価)は全ての事象を織り込む

2.レンドは短期・中期・長期の3つに分類される

3.主要なトレンドは3つの段階から形成される

4.価格は相互に確認される必要がある

5.トレンドは出来高でも確認されなければならない

6.トレンドは明確な転換シグナルが出るまで継続する

 

今回はこの中の6番目の基本原則「トレンドは明確な転換シグナルが出るまで継続する」に着目して相場の波を考えてみましょう。

 

ダウ理論によるトレンドの考え方

ダウ理論では、トレンドを次のように定義づけています。

上昇トレンド → 波が高値を切り上げ、安値も切り上げている状態

下降トレンド → 波が高値を切り下げて、安値も切り下げている状態

 

「トレンドは明確な転換シグナルが出るまで継続する」は、高値・安値ともに切りあがっている限り上昇トレンドは続き、高値・安値ともに切り下がっている限り下降トレンドは続いているということを意味します。

 

ダウ理論によるトレンド転換の考え方

では、トレンドが終了する、あるいはトレンドが転換するというのはどのような場合でしょうか?

上の図はアップトレンドが、ダウントレンドへ転換するプロセスです。

 

①高値が1・2・3と切り上がり、安値も1・2・3と切り上がっているのでアップトレンドです。

②ところが、高値4は高値3を切り上げることができませんでした。波が安値3(最後の押し安値と呼びます)を下に抜けた時点で、値動きが下目線に変わったと考え、アップトレンドが崩れたことになります。

③安値4を波が下に抜けた時点で、高値だけではなく、安値も切り下げたことになるので、ここからダウントレンドが発生します。

 

ダウントレンドがアップトレンドに転換するプロセスも同じように考えます。

①安値が1・2・3と切り下げ、高値も1・2・3と切り下げているのでダウントレンドです。

②ところが、安値4は安値3を切り下げることができませんでした。波が、高値3(最後の戻り高値と呼びます)を上に抜けた時点で、上目線になったと言い、ダウントレンドが崩れたことになります。

③高値4を波が上に抜けた時点で、安値だけでなく、高値も切り上げたことになるので、ここからアップトレンドが発生します。

 

ダウ理論を用いたエントリーと損切

このように、ダウ理論の6番目の原則では、トレンドが転換する場所が明確に規定されています。

 

そして、トレンドが転換する場所とは、新しいトレンドが始まる場所なので、ここが、大きな値幅を取るためのエントリーポイントになります。

トレンド転換を確認して、エントリーしましょう。

エントリーをしたら、損切も忘れずに設定しましょう。

 

損切はどこに置けばよいのでしょうか?

 

損切の場所も、ダウ理論の考えを使うと分かりやすくなります。

トレンド転換の後に、新しくダウントレンドが発生した場合は、エントリーポイントに最も近い高値(直近高値)に置きます。

トレンド転換の後に、新しくアップトレンドが発生し場合は、エントリーポイントに最も近い安値(直近安値)に置きます。

 

なぜなら、アップトレンドの場合も、ダウントレンドの場合も、損切の位置を越えると、ダウ理論では目線が変わることになるからです。

 

エリオット波動とダウ理論

さて、すでに、お気づきの方もいらっしゃると思いますが、ダウ理論とエリオット波動とは、深く結びついています。

 

ダウ理論でいう転換後の波は、エリオット波動でいう推進波にあたります。

 

そして、エリオット波動では第3波がエントリーの第1候補であることを述べましたが、ダウ理論における、トレンド転換後の波はちょうどエリオット波動の第3波にあたるのです。

 

このことからも、エリオット波動の第3波がエントリーポイントとして最適であることがわかります。

 

 

 

まとめ

 

今回は、大きな値幅を取るために必要となる、値動きの波の見方を中心に話を進めてきました。

 

そして、エントリーポイント、利確ポイント、損切ポイントを見極めるために、エリオット波動とダウ理論の考え方を用いました。

 

もう1度エントリーポイント、利確ポイント、損切ポイントについて振り返ってみましょう。

 

・エントリーポイント → エリオット波動第3波を優先的に、次に第5波でエントリーする。

 

第3波は、最も力強く延長しやすい波で、次に延長しやすいのが第5波でした。また、ダウ理論でいうトレンド転換は、第3波にあたり、波の方向性がより確かなものになるからです。

 

・利益確定ポイント → 利益確定は、エリオット波動第5波で、値動きがもみだしたら行う。

 

第5波が延長することもありますが、どこでトレンド転換が始まるかは予測できませんので深追いは危険です。「頭と尻尾はくれてやれ」です。

 

・損切ポイント → エントリーポイントの直近の高値(安値)で行う

 

ダウ理論では、レートがエントリーポイントの直近の高値(安値)を過ぎると、トレンドの目線が変わります。自分がエントリーした方向とは逆に、相場の動く可能性が高くなるからです。

 

あとは、実際のチャートを見て波をカウントしてみましょう。最初はかなり難しく感じると思いますが、繰り返し練習していると、次第に慣れていき、波がよく見えるようになるはずです。

 

チャートで波のカウントができるようになると、スキルアップです。トレードの勝率もきっと上がってくるでしょう。

参考『あなたのトレード判断能力を大幅に鍛えるエリオット波動研究』

著者:一般社団法人日本エリオット波動研究所