FXの環境認識とは

FXのトレードで、利益を得られるかどうかは、エントリーを行う前の相場の環境認識にかかっているといっても、それほど言い過ぎではないでしょうなぜなら、相場の環境を正しく認識できるようになれば、チャートを見ただけで、エントリーすべきタイミングが分かるようになり、トレードに適した通貨ペアなどもわかるようになるからです。それに従ってトレードを行えば、大きな成果を上げられるはずです。

 

今回は、FXの環境認識について、トレードを始めてそれほど時間の経っていない、初心者の方にもわかりやすく説明をしていきたいと思います。環境認識に関して理解を深めそれを実践していけば、きっとトレードの勝率は上がるはずです。ぜひ、これを読んで、明日からのトレードに生かしてみてください!

 

FXの環境認識ついては、現在、さまざまな説明が多くの人によってなされています。ここでは、そういった皆さんの考えを参考にしながら、筆者自身の考える環境認識について話をしていきたいと思います。

 

FXの環境認識とは何か、環境認識の目的

FXの環境認識とはいったい何でしょうか?

そして、何のために環境認識をするのでしょうか?

 

 

FXの環境認識とは、トレードに関わる、相場のさまざまな状況を、チャート上から把握することです。

また、環境認識は、その時の相場の状況がトレードに向いているかどうか、また、どのようなトレードが可能かを判断し、トレードのタイミングを絞り込むために行います。

 

相場は常に動いており時間とともに刻々と変化しています。その中にはエントリーができないような状況もあれば、大きく利益を伸ばせる状況もあるはずです。しかし、変化していく相場の状況を正しく理解し続けるのは、なかなか難しいことです。自分がチャンスだと思ってエントリーしたとたんに、値動きが逆を向いてしまうなどということは、だれしも経験があるものです。仮に相場の状況を把握できるようになれば、勝率はきっと上がるに違いありません。

 

FXの環境認識では、まず、第1に、現在の相場の状況がトレードできる状況にあるのかどうかを見極めていきます。次に、できるだけ大きな利幅を確実に取るために、最も好ましいエントリーのタイミングと利確(利益確定)のタイミングを絞り込んでいきます。

 

 

トレードに有利な環境とは

ところで、トレードに有利な環境とは何でしょうか? 

トレードに有利な環境というのは、結局、大きな利益が得られる相場の環境ということになります。シンプルに考えて、2つの相場環境が考えられます。

 

1.トレンドが発生している相場環境

2.  おおきな利幅が見込める相場環境

 

1について、FXで、最も確実に利益を上げやすい王道の手法といえば、やはり、トレンドフォローでしょう。しかし、いくらトレンドフォローをやろうと思っても、相場にトレンドが発生していなければ、何も始まりません。したがって、相場にトレンドが発生していれば、その相場の環境はトレードに有利に働く、利益が得られやすいものだといえます。

また、2について、FXでは、利幅が大きければ大きいほど、大きな利益を得られます。大きな利幅が見込める相場環境は、トレーダーにとって優位性のある相場ということになります。

 

トレンドの見極め方

移動平均線を用いた方法

では、トレンドはどのように見極めればよいのでしょうか?

 

ここでは、初心者の方にもわかりやすい、「移動平均線」というテクニカル指標を用いてトレンドを判断してみましょう。移動平均線は多くのトレーダーが用いている、最もポピュラーなテクニカル指標です。

 

 

下は、ローソク足と2種類の移動平均線が描かれたチャートです。「20MA」「100MA」と書かれた曲線が移動平均線と呼ばれるものです。

 

移動平均線は、過去のある一定期間のローソク足の終値の平均値をつないで線にしたものです。平均値と現在の価格が、移動平均線とローソク足との位置関係で視覚的に表され、今後の値動きの予想に役立てることができます。

 

上のチャートは1時間足のチャートです。ローソク足20本の終値の平均値が1時間ごとにつぎつぎと算出されるので、それを線でつないでいくことで、移動平均線が表示されていきます。

 

また、移動平均線の期間の設定は、プロのトレーダーがよく使うような標準的なものもありますが、トレードスタイルや使い勝手によって人それぞれ異なるようです。本数は短期と中期の2本、もしくは短期、中期、長期の3本の線を使うのが一般的です。

 

移動平均線は、短期のものほど値動きに敏感に反応し、長期になるほど値動きに緩やかに反応します。

 

あくまで参考までに、筆者が使っている移動平均線の期間をあげておきます。個人的には、移動平均線の期間はあまりこだわらずにポピュラーなものでよいと思います。大切なのは、移動平均線の特徴に自分が慣れることだと思います。実際に自分で使ってみて、使いやすいと思う期間を設定してください。

 

では、移動平均線がどのようなものか、わかりやすいように、実際のチャートを見て確かめてみましょう。

 

 

 

チャート1、チャート2、チャート3、いずれも豪ドル/米ドルの4時間足です。

 

チャートの緑のグラフ状の曲線が、短期の移動平均線(20MA)で赤の曲線が、中期の移動平均線(120MA)です。【20は4時間のローソク足20本の期間、120は4時間のローソク足120本の期間を表します。】

 

トレンドは、移動平均線によって視覚的に理解することができます。トレンドと移動平均線との関係をまとめると次のようになります

 

上昇トレンドでは、移動平均線は右肩上がりになり、20MAは120MAの上に位置します

 移動平均線の作る角度が急なほど、強いトレンドが発生しています。

 

下降トレンドは、移動平均線は右肩下がりになり20MAは120MAの下に位置します。

 移動平均線の角度が急なほど、強いトレンドが発生しています。

 

レンジでは、移動平均線は横向きになり、20MAと120MAが近づき、絡み合うこともあります。

 

それでは、トレンドと移動平均線の以上の関係をふまえて先程のチャートを見てみましょう。すでにお分かりだと思いますが、「チャート1の環境は、上昇トレンド」「チャート2の環境は、下降トレンド中」「チャート3の環境は、前半が上昇トレンドで、後半はレンジの状態。」だとわかります。

 

トレードのチャンスがあるのは、トレードが発生している「チャート1」と「チャート2」です。「チャート3」はレンジなので、トレードは控えます。レンジのトレードは、慣れないうちはとても難しいので、まずは、トレンドフォローができるチャートを選びましょう

 

移動平均線を用いると、このように一目でトレンドかレンジかを判断することができます。それだけでなく、角度によってトレンドの強さもわかるのです。

 

マルチタイムフレーム分析について

トレンドが発生しているチャートが見つかったら、次は、「マルチタイムフレーム分析」によって、自分の予測しているトレードシナリオが、間違っていないかを確認をしましよう。

 

マルチタイムフレーム分析とは、同時に複数の時間足チャートを見ることによって、相場の大きな流れを把握し、エントリータイミングを計っていくことを言います。 

 

それでは、マルチフレーム分析を理解するために、下の2枚のチャートを見てみましょう。

このチャートでは、どのようなエントリーができるでしょうか?

 

移動平均線が2本とも右肩下がりで角度もあります。20MAは120MAの下側にあり、下降トレンドが発生しているので、ショート(売り)でエントリーできそうです。

もう一枚チャートを見てみましょう。こちらはどのようなトレードができるしょうか。

チャートのロウソク足は、右肩上がりで、20MAは120MAの上に位置し、角度も十分にあるので上昇トレンドです。ロング(買い)でエントリーできそうです。

 

1枚目のチャートは下降トレンドが、2枚目のチャートは上昇トレンドが発生しています。そのため、この2枚のチャートは、全く別の相場を表していると思ってしまいがちですが、実は、2枚のチャートは同じ相場を表したものです。

 

これらは、どちらも豪ドル/米ドルのチャートで、1枚目は5分足、2枚目は4時間足のチャートです。そして、1枚目のチャートは、2枚目の4時間足チャートの中ほどにある、赤く塗られた部分を5分足チャートに拡大したものです。4時間足1本につき5分足だと48本になるので、細かい動きもよく分かるようになります。

 

この2枚のチャートから、同じ1つの相場であっても時間足が異なると、トレンドが全く逆になる場合もあることがわかります。短い時間足の値動きは、やがて上位足(より長期の足。ここでは4時間足)の値動きにまとめられていきます。これは、短期の時間足よりも長期の時間足を見てトレードをしている人が、大多数であることによります。

 

したがって、1枚目のチャートだけを見て、下降トレンドと思い込み、ショート(売り)のポジションを持ったとしたら、しばらくは含み益が出ますが、やがてトレンドは反転し、上昇トレンドに変わってしまいます。理由がわからないうちに、含み益はどんどんと減り、含み損を抱え、ついには損切されてしまう、ということもあり得ます。

 

このような事態を避けるには、短期足である5分足だけではなく、より上位足である4時間足も見ておくことが重要になります。

 

FXの環境認識にマルチタイムフレーム分析が必要だといわれる理由は、短い時間足チャートをだけではわからない大きな相場の流れを、より上位足のチャートを見ることで認識できるからに他なりません。

 

例えば、デイトレ―ドであれば、次のようにマルチタイムフレーム分析を行えばよいでしょう。

大きな流れを把握する → 4時間足や日足を見る。場合によっては週足も参考にする。

エントリータイミングを計る → 15分足や5分足を見て判断する。

時々確認をする → 1時間足を監視する。

 

スキャルピングのトレードであれば、大きな流れを1時間足や4時間足で把握し、エントリーは1分足で行うのが一般的だと思います。

 

スイングトレードでは、日足や週足、月足などで大きな流れをつかみ、エントリーを1時間足などで行うことが多いでしょう。

 

まとめ

 

今回は、FXの環境認識とは何か、環境認識のやり方、特にトレンドの見極め方についてお伝えしました。

 

FXの環境認識とは、トレードをするために相場の状況を読み取ることでした。今の相場が、トレードにふさわしい状況であるのか、トレードのタイミングはどのポイントに絞り込めるかなどを判断していきます。

 

また、トレンドをチャートから正しく見極めるには、2つのポイントがありました。

 

1つは、移動平均線を用いることです。移動平均線の傾きや角度からトレンドの発生やトレンドの内容を読み取ることができました。

 

2つ目は、マルチタイムフレーム分析を行う手法です。短期の時間足チャートを見るだけではなく、中期、長期の時間足チャートを見ることによって、相場の大きな流れを把握し、流れに逆らわないトレードすることができます。また、エントリーポイントの絞り込みには、より短期の時間足チャートを使うとエントリーの精度を上げることができました。

 

ぜひ、明日からのトレードに取り入れてみてください。今まで何気なく眺めていたチャートから、トレードの判断に役に立つ貴重な情報が読み取れるはずです!

 

次回は、環境認識のやり方の2回目として、「値幅を取る方法」についてお伝えしようと思います。