FXは株式と違い、土日以外の24時間取引が可能です。自分の都合がいい時間帯に取引できるということで、FXを投資先に選ぶ方も多数いらっしゃいます。

けれども、FXは時間帯ごとに値動きの特徴が違います。時間帯別に戦略を立てないと、「なぜこんな値動きをするのか?」と、思わぬ損失を繰り返すことになります。

そこで、今回は、時間帯ごとの特徴と、その時間帯にどのようなトレードが有効なのかを解説します。

世界三大株式市場の時間帯

世界中に株式の取引所があるにはあるのですが、三大市場といえば東京・ロンドン・ニューヨークことを指します。この市場に株式や為替取引をする世界中のトレーダーが集中するのですが、各市場によって参加者が違えば、それぞれの取引スタイルも異なるため、全く異なる値動きをするという特徴があります

  東京株式市場 ロンドン株式市場 ニューヨーク株式市場
東京時間(冬時間) 9:00-15:00 17:00-1:30  23:30-6:00
東京時間(夏時間) 9:00-15:00 16:00-0:30 22:30-5:00
現地時間 9:00-15:00 8:00-16:30

9:30-16:00

為替は株式取引所が開いていなくても取引が可能なので、株式市場が開く30分~1時間前から活発に動き始めます。例えば東京市場の場合だと、8:00から8:30くらいには為替取引の参加者が参入し始めるということです。

東京市場の特徴

実需の取引が多いのが特徴です。実需とは、実際に外貨が必要なので売ったり買ったりすることです。反対の言葉は投資または投機と呼び、これは為替の取引によって利益を得ようとすることです。

9:55に銀行がその日の取引をする為替基準レートを決めます。これは、仲値と呼ばれ、この時間帯は値動きが激しくなることが多いです。

この時間帯を過ぎると、東京市場は比較的静かな値動きを繰り返します。レンジ相場と言って、一定の値幅で為替の動きか繰り返されます。

東京市場の時間帯でトレードとして有効なのは、上がり切ったところを売り、下がり切ったところを売る、という手法です。

 

ロンドン市場の特徴

活発な投機筋が参入してきます。投機筋は金融機関であったり、個人であったり、政府であったり様々です。東京市場に比べて、値動きが大きくなる傾向があります。

値動きが大きいためトレンドが出やすくなるのが特徴です。トレンドとは一方向に上がったり、下がったりする値動きです。トレンドの方向についていくトレード手法が有効となります。逆に言えば逆張りやナンピントレードはリスクがある時間帯になります

 

ニューヨーク市場の特徴

さらに市場参加者が増えてきます。ロンドン市場と重なる22:00-2:00くらいの間は1日の中で最も取引が活発となります。重要な指標発表で相場が急騰したり、急落したりします。指標は大きな利益を得るチャンスであり、大きな損失を被るリスクでもあります。

ロンドン市場と同じように、基本はトレンドが続くことが多いですが、指標をきっかけに今までとは全く逆の動きをすることもある、荒っぽい市場です。

 

初心者は東京市場がおススメ

為替の値動きをボラティリティと呼びます。ボラティリティは、東京<ロンドン<ニューヨークの順に大きくなります。ボラティリティが大きいほうが大きい利益が見込めますが、損失のリスクも大きくなります。

FXの初心者が、ボラティリティの高いロンドンやニューヨークにいきなり参入したらどうなるでしょうか。市場に慣れる前に資金が枯渇してしまいます。ロンドンやニューヨークは海千山千の凄腕トレーダーがひしめく激戦区です。あっという間に飲み込まれてしまいます。

トレンドがある相場というのは簡単そうですが、どこで買うのか、どこで売るのか、というのは実は非常に難しいのです。

東京市場の場合だと一定の値動きの範囲で上がったら売る、下がったら買う、という手法を取れば大きな損失は受けません。レンジを抜ければ損切り、または利確というルールも作りやすいのです。

 

ロンドン市場の入り目には注意

株式市場がオープンする30分くらい前になると、市場は突然今までとは違う動きを始めます。東京市場で取引している人から欧州市場で取引している人に、相場を動かす参加者が変わるからです。先ほどお伝えをしましたが参加者が変われば値動きも変わります。含み損でも、含み益でも、ロンドン市場に入る30分前にはポジションをほどいた方が安全です

 

FXは24時間取引だからこそ引き際が大事

ずるずるとトレードをしていれば、損失が膨らんでいき、損失を取り戻すためにさらにトレードを繰り返し、損失を積み重ねるという悪循環になります。トレードは集中力が必要なので、時間を決めずにだらだらと続けていては、必ず失敗するのです。長々とトレードをしていれば、体調にも影響します。

東京時間でトレードを行なうなら例えば「8:30-15:30」という風に決めておく
メリハリが大切です。相場は今日で終わりではありません。明日もあるという事を忘れてはいけません。

まとめ

数多くのFX初心者用の本やブログが、ロンドン市場やニューヨーク市場がFXの時間帯、と推奨しています。たしかに値動きがあるので利益を出しやすいのは事実です。けれども、大きな損失を出しやすいのもロンドン市場でありニューヨーク市場です。

為替取引で巨額の富を得ようとして激しく戦っている市場に初心者が入り込むと、あっという間に飲み込まれて市場から退場、ということになりかねません。値動きは小さくても、まず東京市場で自分のFXの腕を磨いてから激しい市場には参入するべきなのです。FXで初心者がしなければならない一番大切なことは、資金を守って生き残ることだと覚えておかねばなりません。あのプロサッカー選手の本田圭佑さんも幼少時代は、壁に向かって毎日毎日ボールを蹴り続けていたことがあったそうです。たゆまぬ地道な努力の先に輝く未来があるのはどの世界も一緒の話かもしれません。是非、FX初心者の皆さんも着実に利益を出せるようになるために、まずは東京市場で勝てる感覚をコツコツと身に着けていくことが良いかもしれません。