FXをしながら気になるのが、確定申告です。

FXは興味があってやっているけれども、確定申告のことはまったく知らずにやっていないという人もいるかもしれません。

ここでは確定申告の基本と、どうしたら節税できるかなどについてご紹介したいと思います。

利益が出た時だけ確定申告すれば良いと思っている方もいると思いますが、損失が出た時にも確定申告するのが節税対策になるという意外な落とし穴などについてもご紹介します。

1.確定申告とは何か

確定申告とは、所得にかかる税金を払うために計算し関連の書類を提出するための手続きのことを言います。

そのためには確定申告書や計算書などの書類を準備することが必要です。

所得の計算期間は1月1日から12月31日の1年間(もっと正確に言うと、1月1日午前6時30分から2019年1月1日午前6時29分59秒までの1年間)で、申告・納税の期間は2月16日から3月15日(土日の場合は翌月曜日)までです。

 

所得税以外に支払い義務がある住民税については、税務署に確定申告をすると税務署から市町村に通知されるようになっているため別途に住民税のための申告をする必要はありません。

2.確定申告が必要な人の条件と方法

確定申告が必要な人の条件

それでは、具体的に確定申告をする上で、確定申告をする必要がある人の条件と確定申告の方法について紹介しましょう。

まず、確定申告をする必要がある人の条件とは以下の通りです。

会社員と年金生活者の場合

年間20万円の利益が出た場合で、給与所得が2000万円以下の会社員年金収入が年400万円以下の人は確定申告をする必要があります。

20万円には、給与・退職所得以外の所得が含まれます。

たとえば、FX取引の所得が20万円以下であっても給与・退職所得以外の所得の合計が20万円を超えると確定申告の義務が発生しますので、これには注意が必要です。

個人事業主(フリーランスや個人商店など)の場合

フリーランスや個人商店などの個人事業者で事業所得がある場合は、基本的に確定申告が必要です。

FX取引を事業として行っている場合には青色申告で行うことができますが、事業ではない場合は雑所得として申告する必要があります。

自分のFX取引が事業なのか、そうでないかは、業務形態や取引額などで判断されますが、はっきりと分からない場合は、税務署や税理士などに相談することをおすすめします。

扶養家族(専業主婦や学生、家事手伝いなど)で給与等の収入がない場合

専業主婦や学生、家事手伝いなどの扶養家族で給与収入がない場合は、雑所得の合計額(経費を差し引く)が所得控除額を超えると確定申告をする必要があります。

また、雑所得の合計額が38万円を超えた場合は扶養家族から外れますので、注意が必要です。

確定申告に必要な書類

確定申告に必要な書類を作成する必要があります。

■申告書第三表(分離課税用)

■先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書

この2つに追加ですが、FX取引に損失が発生している場合には、3年間の損失を繰越できる繰越控除制度を利用するために

■所得税の確定申告書付表(先物取引に係る繰越損失用)

も必要となります。

上の2(3)つの書類に加えて、取り寄せる書類が2つ必要ですが、それは

■年間取引報告書(年間損益報告書)

– これはFX会社のホームページを通してダウンロードできるようになっています。

■給与所得の源泉徴収票(会社員の場合)

– これは勤務中の会社から取り寄せることができます。

最後に本人確認のための書類の提示または写しが必要となります。

■本人確認の書類の写し

  通知カード+運転免許証や保険証など
  マイナンバーカード(両面)
  なお、申告書にはマイナンバーを書き込む欄があります。

以上、合計5(6)つを準備して税務署に申告してください。

3.税金の内容と計算方法

税金の内容

それでは、FXで利益が出た時には実際にどのくらい税金を払わないといけないのでしょうか。

利益に対して20.315%の税金の税金が課せられます。

100万円利益がでたら約20万円が税金として取られるわけです。

利益が出たとしても、税金分は翌年に予め払うものとして使わないで、確保しておくことが必要ですね。

さらにこの20.315%の内訳を説明しますと、

所得税15%
住民税5%
復興特別所得税0.315%(2018年現在)

 

となっています。

復興特別所得税というのは、東日本大震災が発生した後、「東日本大震災からの復興の為の施策を実施する為に必要な財源の確保に関する特別措置法」が新たに制定されて、2013年1月1日より2037年12月31日までの25年間、復興特別所得税を払うように法制化されたもので、所得税×2.1%=0.315%が追加で課せられたものです。

税金の計算方法

税金支払いの対象となるFXの所得金額の計算方法は以下の通りとなります。

FXの所得金額=FXの粗利益(1年間の利益合計)―必要経費

 

ここで、FXの粗利益とは、決済した1年間のFXの売買益とスワップ金利による利益の合計額を言います。

ただし利益を確定していなくても利益分が課税対象となるFX会社がありますので、取引会社のホームページなどで確認することを忘れないでください。

必要経費には以下のようなものが含まれます。

・売買手数料
・FX関連セミナー参加費
・筆記用具代
・雑誌・新聞の代金
・振込手数料
・通信費・プロバイダー費用の一部
・パソコンの購入費用の一部などです。

 

なお、通信費・プロバイダー費用やパソコン購入費などの必要経費は税務署によって理解が違う場合がありますので、所轄の税理士や税務署などに相談することをおすすめします。

また、マイナンバー導入後は、FX会社から税務署に支払い調書が提出されるようになりましたので、利益を間違って申告すると、税務署から指摘される可能性が高くなりますので、ご注意ください。

納税しないとどうなる?

確定申告は義務ですので、しないと脱税・罰則の規定により罰せられますので注意が必要です。

罰則には4種類あり、

1 実際より少なく申告した場合には、10~15%の過少申告加算税が課せられます。
2 申告を隠蔽した場合には、35~40%の重加算税が課せられます。
3 申告しなかった場合には、15~20%の無申告加算税が課せられます。
4 確定申告はしたけど期限内に納付しなかった場合は、7.3~14.6%の延滞税と1.6%の利子税が課せられます。

 

以上のように、確定申告や納税をいい加減にすると、すくなくない罰則が課せられますので、面倒ですが、きちんと申告手続きをする必要があります。

節税するための方法

1過去3年間の損失繰越控除を利用する

2012年1月以降の税制改正により、店頭FX(取引所を介さずにFX業者と投資家が直接取引を行う行為)での損失(1年間)を次の年から3年間、発生した利益から繰越控除できるようになりました。

ただしこの繰越控除の恵沢を受けるためには、損失が出た年から毎年連続で確定申告をする必要がありますので、これも要注意のポイントです。

また、この場合、必要書類として所得税の確定申告書付表の提出が追加で必要となります。

つまり、確定申告は損失が出ても、または20万円以下の利益しか出てなくても、習慣的にこまめに申告する方が最終的に節税対策になる可能性が高いということになりますので、この点はきちんと押さえておきましょう。

各種先物取引との損益合算で計算する雑所得を利用する

これも税制が改正されて、2012年1月以降は店頭FXでも金融先物取引・取引所先物取引・商品先物取引などで発生した損益との通算が可能となりました。

日経225先物などの株価指数先物取引や原油・金などの商品先物取引、さらにはくりっく365や大証FXなどの取引所FXなどでの損益も含めて雑所得の申告が可能となりました。

この制度をうまく利用すれば、他の雑所得で損失が出た額を合算することで節税することができると言う事です。

申告分離課税を利用する

これは節税対策というよりも、税制改正による課税方法と課税率の変化が全体的にトレーダーにとって有利になったということです。

税制改正以前は、取引所FX(くりっく365、大証FX)では分離課税が出来ましたが、店頭FXでは総合課税が使われていました。

総合課税とは課税所得額(給与所得や雑所得を全部合わせた所得額)が上がると共に最大50%(1800万円以上)も税金でもっていかれました。

FX以外の全ての所得と合算した額に対して税率が決定されるので、FX以外の所得が多い人やFXで多くの利益を出した人には、FXをやる意味が余り感じられなかったのです。

しかし、税制改正により分離課税になることによって、雑所得に対してのみ、所得額の大小に関係なく税率が約20%と固定されるようになりましたので、FXで多くの利益を上げる人にとってはかなりの節税効果をもたらすようになったということです。

なお、申告分離課税の適用対象は個人に限られています。

まとめ

以上、FXの利益に対する確定申告の方法と節税対策について説明しました。

書類の作成や税務署への提出など面倒と思われることも多いと思いますが、FXを持続的に事業または副業として行っていきたい人にとっては欠かすことのできない内容ですので、内容をよく理解しこまめにやって行くことが重要でしょう。