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今日は「ファンダメンタルズ分析」よ!「ファンダメンタルズ」は経済用語で「経済の基礎的事項」という意味なの。

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またもや初めて聞くことばが出てきたぞ!

ファンダメンタル分析とは

「ファンダメンタル分析」は相場の値動きの根本にかかわる分析法です。ここでの理解は明日からのFXトレードに必ずプラスになるはずです。初心者の方にもできるだけわかりやすく説明したいと思いますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

 

相場を予測するためには、まずは相場の状況を正しく分析し、しっかりと把握することが重要です。

 

その際に、相場の状況を理解するための分析手法には、大きく分けて「テクニカル分析」「ファンダメンタルズ分析」の2種類があります。

 

今回と次回はファンダメンタルズ分析について解説していきたいと思います。より分かりやすくするために、必要に応じてテクニカル分析と比べながら、ファンダメンタルズ分析についてお話ししていきたいと思います。

 

これら2つの分析方法は、相場の状況を把握するという目的については同じですが、分析方法はまったく異なるものです。

 

2つの分析方法を簡潔にまとめると、次のようになります。

テクニカル分析:チャートをもとに今後の値動きを予想する方法

ファンダメンタルズ分析:経済状況や金融動向によって今後の値動きを予想する方法

 

テクニカル分析

テクニカル分析は、チャートを読み解くことから将来の値動きを予想する方法です。このコラムでもたびたび取り上げてきた相場分析の方法です。

 

例えば、エリオット波動理論やダウ理論を用いてチャートを分析する方法。移動平均線やボリンジャーバンドといったトレンド系のテクニカル指標を用いたチャートの分析方法。あるいはMACDなどのオシレーター系のテクニカル指標を用いてチャートを分析する方法など、これらはどれもチャートを用いて相場を予測しているので、すべてテクニカル分析です。

 

ファンダメンタルズ分析

そもそもファンダメンタルズ(fundamentals)とは、国や企業などの経済状態、財務状態を判断する指標のことです。辞書には次のような説明があります。

ファンダメンタルズ【fundamentals】

1.国際経済を安定させるための基礎的条件。また、一国の経済状態を判断するための基礎的条件。経済成長率・物価上昇率・失業率・国際収支など。

2.売上高、利益、純資産価値など、企業の価値を評価する基礎的な財務データのこと。このデータを用いてファンダメンタルズ分析を行う。

出典:デジタル大辞典(小学館)

FXのファンダメンタルズの場合は、辞書の1番目の意味にあたります。

 

したがって、FXのファンダメンタルズ分析とは、世界経済の動向や金融政策、政治情勢などを分析し、将来の為替相場の値動きを予想する方法です。

 

具体的には、各国の「経済指標」や中央銀行が行う「金融政策」、政府による「財政政策」などが、FXに必要なファンダメンタルズの代表です。

 

現代のグローバル経済のもとでは、各国のファンダメンタルズが互いに影響を与えあっていますので、一国だけでなく幅広く視野を広げる必要があります。また、要人の発言や、災害・有事なども為替相場の値動きに影響を及ぼすファンダメンタルズといえます。

 

初心者に注目してほしいFXに必要な3種類のファンダメンタルズ

ファンダメンタルズは挙げればきりがありませんが、初心者の方にぜひ注目してほしいファンダメンタルズが次の3種類です。

1.経済指標

2.金融政策

3.財政政策

今回は、この3種類のファンダメンタルズのうち、経済指標について具体的に見ていきたいとおもいます。

 

経済指標

経済指標は、各国の公的機関等が発表する、経済状況を構成する要因(物価、金利、景気、貿易など)を数値化した、経済の現状や過去からの変化を正確に把握できるものを言います。

 

経済指標は株式市場・為替市場関係者は常に注目している指標です。それぞれの経済指標が何を表しているのかを読み解くことで、将来の価格の方向性を予想するのに役立ちます。

経済指標

・経済指標とは、その国の経済状況を数値化したもの

・経済指標は各国の公的機関、団体によって発表される

・経済指標には雇用・物価・景気・金融政策など、さまざまなものがある

GDP(国内総生産)

経済指標で、第1番目に挙げるべきものは「GDP」(国内総生産)でしょう。

 

GDP(国内総生産)とは、その年に国内で生産された物やサービスなどを合計したものです。これには、国内企業が海外で生産したものなどは含まれません。逆に、外資系企業であっても、日本国内で生産したものはGDPに含まれます。

 

つまり、GDPが示すのは、その国が国内でどれだけ経済を活発に動かしたかということです。(ちなみに、国内に限らず海外での生産額も含んだ指標はGNP=国民総生産です。)

 

GDPは、その国の経済規模を示すだけでなく、その変化率(「経済成長率」)によって未来への可能性までも浮き彫りにします。まさに現在の実体経済を如実に表す経済指標の王様です。

 

一口にGDPといっても、実は様々な種類があります。その中で最も重要なものは、「名目GDP」から物価変動の影響を排除して推計した「実質GDP」です。

 

GDPは各国で発表されますが、毎月発表する国もあれば四半期ごとに発表する国もあります。

 

では、実際にGDPをFXに活かすために、その発表スケジュールを見ていきましょう。各国が発表するGDPですが、特に注目度が高く、他の国々への影響力も大きいアメリカを例に説明していきます。

米国の実質GDPは四半期ごとに年4回行われます。それぞれ、予想値である「速報値」、中間報告的な「改定値」、そして修正された「確報値」に分かれます。

 

もっとも注目されるのが、各四半期の速報値です。そののちに修正される可能性も大いにあり得ますが、いち早くその期間の動向を知る手掛かりになりますから非常に注目度は高まります。

 

続いて注目されるのは、確報値。「速報値からどの程度上下に修正されたか」「予想値に対し結果はどの程度の乖離があったか」などが注目され、速報値と確報値に開きが出た場合はマーケットへのインパクトは大きくなります

 

速報値より良い結果が出ればその通貨は買われ、悪い結果が出れば売られることになります。

 

特に第4四半期に行われる確報値で「前期分の修正」が行われると、よりインパクトの大きいものとなり注目しておく必要があります。

 

GDPをチェックすべき国としてベスト3を上げるとすれば、次の3国になります。

1.アメリカのGDP:GDP世界第1位の国、世界のGDPの約3割がアメリカのGDP

2.日本のGDP:GDP世界第3位、自国の経済状況把握には欠かせない

3.ドイツのGDP:フランスと共にEU(ヨーロッパ共同体)の経済をけん引する国のGDP

この他に、イギリスオーストラリアニュージーランドなどについても自分が取引する通貨に応じて注意するとよいでしょう。

 

雇用統計

FX市場でも、雇用統計は経済の温度を示す指標として、大きな存在感があります。

 

経済が成長する過程を考えた場合、企業は資金が潤沢になり、その資金を用いたり融資を受けるなどしながら、設備投資をし、また、従業員を増やして生産力を高めます。

 

このように、雇用が高まるのは経済成長の後段になるため、雇用統計の数字は経済の回復がしっかり進んでいることの確認になります。

 

雇用統計が、さまざまな指標の中でも「最終的な指標」として位置づけられる理由がここにあります。

 

雇用統計は各国が発表しますが、やはり、最も注目が高いのはGDP1位のアメリカの雇用統計です。アメリカの経済はあらゆる国の経済に影響を与えるので、世界がアメリカの雇用統計に注目します。

 

アメリカの雇用統計は、毎月第1金曜日、日本時間で午後10時30分(夏時間は午後9時30分)、労働省の労働統計局によって発表されます。失業率、非農業部門雇用者数(NFP)を中心に、平均時給、週労働時間などが発表されます。

 

雇用統計の中でも特に注目されるのが、「失業率」「非農業部門雇用者数」です。

 

失業率の増加は経済の後退を意味しますから、ドル安の要因になります。逆に失業率の

減少は経済の回復を意味し、ドル高の要因になります。

 

米国企業は、日本企業とは比べ物にならないくらいに雇用を変動させます。企業再建のための「リストラ」ということばは米国が本家本元であり、「レイオフ(一時解雇)」なども必要に応じ即座に行われることからも、米国企業の雇用に対するシビアな態度がうかがえます。

 

そのため、非農業部門雇用者数は、非常にタイムリーかつ如実に米国の現時点での景気を表すものとして、マーケットに多大な影響を与えます。

 

消費者物価指数(CPI)

「消費者物価指数」(CPI)は全国消費者が購入する商品、サービスの価格を指数化したものです。CPIは別名「インフレ率」と称されインフレ/デフレの目安になる数値です。

 

このCPIに注目しているのは投資家だけでなく、実は各国の中央銀行が注目しています。

 

中央銀行の主要な仕事の1つは通貨の価値を適切に保つことです。中央銀行がモノと通貨の価値のバランスが崩れたと感じたときに行うのが「金利」の引き上げや引き下げです

 

原則として、金利が高くなった国の通貨は、マーケットから買われやすくなります。CPIの上昇が確認されると「金利引き上げ」を連想してその国の通貨が買われることがよくありま

 

また、このような動きに輪をかけるのが、中央銀行や政府の要人による声明が出された時です。

 

例えば、「インフレ率はさらに高まるだろう」「経済は成長しているものの、過度のインフレリスクが存在する」などのポジティブな発言があった場合は、金利引き上げが近いと受け取られ、通貨は買われます

 

一方、「インフレ率が高いのは一時的」「インフレ率は次第に下落するだろう」といった、現状に対するネガティブな発言が出るとCPIの動きとは逆に、売りになります。

 

いずれにしても、CPIに大きな動きがあったときは、その後の展開をマーケット全体が注目しているため、その国の通貨が買われるにしても売られるにしても極端な動きになることがよくあります。

 

まとめ

 

今回は、「FXのファンダメンタルズ分析とは何か? 初心者に注目してほしい3種類のファンダメンタルズ(1)」というタイトルで、解説をしてきました。

 

「ファンダメンタル分析とは何か」ということ、ファンダメンタル分析の柱である経済指標の中から「GDP(国内総生産)」、「雇用統計」、「消費者物価指数(CPI)」を取り上げましたが、理解していただけたでしょうか。

 

相場を動かしているのは、決して「テクニカル」的なものではなく、あくまでも「ファンダメンタルズ」になります。ファンダメンタル分析はトレードに確信を与えてくれるはずです。

 

自分のトレードにより確かな根拠を持つために、ぜひファンダメンタル分析を活用してみてください。

 

次回はファンダメンタルズの3つの柱のうち、「金融政策」と「財政政策」について解説したいと思います。

 

参考文献:横尾寧子著『イチからわかる!FXファンダメンタルズの読み方使い方』(成美堂出版)