今日のチャートはずいぶんラインが多いね!
ボリンジャーバンドという株やFXでよく使われるテクニカル指標の1つよ!
ボリンジャーバンドとは
ボリンジャーバンドとは何か
ボリンジャーバンドとは、株やFXで用いるテクニカル指標の1つです。アメリカの金融アナリストである、ジョン・A・ボリンジャ-氏によって考案され、現在、多くのトレーダーが利用している大変メジャーなインジケーター(=指標)です。
チャート上では、移動平均線と、一定期間の各終値を統計学的に処理して算出した、2本(4本や6本のこともあります)の線によって、表されます。
移動平均線は、ある時点での価格の予測平均値を表し、2本の線によって挟まれた帯(バンド)は、価格の変動範囲を予測したものです。
これらの傾きやバンドの拡大・縮小などによって、トレンドの分析やトレンドの強弱、勢いを視覚的に表すことができる優れたインジケーターです。
ボリンジャーバンドは、上の図のように、移動平均線と帯(バンド)を表す6本の線で構成されます。ここでは6本の例をあげましたが、4本で表したり、2本で表したりする場合もあります。
中心にあるのが、移動平均線(紫色)です。そして、価格のばらつきの幅を「+1σ(ぷらすいちしぐま)」から「-1σ(まいなすいちしぐま)」(黄色)まで、「+2σ(ぷらすにしぐま)」から「-2σ(まいなすにしぐま)」(緑色)まで、「+3σ(ぷらすさんしぐま)」から「-3σ(まいなすさんしぐま)」(青色)まで、のように段階的に表しています。
標準偏差と正規分布
ボリンジャーバンドでは、時間とともにバンドの幅が変化していきますが、これは価格のばらつきの幅が変化していることを意味しています。
価格のばらつきの幅は、移動平均線に用いられている一定期間の各終値を用いて、数学的に算出した「標準偏差」によって表されています。「標準偏差」の内容については、ここでは省略しますが、重要なのは、標準偏差によって表された価格のばらつきをグラフに表すと、「正規分布」を描くということです。
正規分布は図のような、「平均付近が一番高く、平均から離れるにつれておだやかに低くなっていく、左右対称な鐘型の分布」です。
「全国の中学生の男女別の身長分布」や「大規模な模試の点数分布」などが正規分布をする例といえば、ピンとくる方も多いのではないでしょうか。
「この世で最も一般的な分布」ともいわれ、さまざまな社会現象や自然現象に当てはまる確率分布です。
ボリンジャーバンドで予測される価格のばらつきも、移動平均線を中心とした正規分布になるというところがポイントです。
ボリンジャーバンドと価格
統計学上、正規分布における値のばらつきは次のようになります。
・値が「+1σ」から「-1σ」の範囲内に収まる確率は:約68.3パーセント
・値が「+2σ」から「-2σ」の範囲内に収まる確率は:約95.4パーセント
・値が「+3σ」から「-3σ」の範囲内に収まる確率は:約99.7パーセント
これをボリンジャーバンドに当てはめて考えると、
「+1σ」から「-1σ」の範囲内に約68.3パーセントの価格が含まれ、「+2σ」から「-2σ」の範囲内に約95.4パーセントの価格が含まれているということです。「+3σ」から「-3σ」の範囲内に至っては約99.7パーセント価格が含まれているということになります。
逆に言えば、「+2σ」から「-2σ」の幅に収まり切れない価格は、4.6パーセントしかなく、まれな例であるといえます。さらに「+3σ」から「-3σ」の幅に収まり切れない価格は。0.03パーセントで、極めてまれであるといえます。
つまり、価格が移動平均線のあたりで推移している場合は普通に売買が行われていることになりますが、移動平均線を横切りながら上方や下方に位置してくると、偏って買われたり売られたりしていることになり、確率的には低いとされる、「+2σ」や「-2σ」あたりやさらにそれを越えて位置する場合は、異常に買われたり売られたりしている、と判断することができます。
ボリンジャーバンドの見方
ボリンジャーバンドの3つの状態
ボリンジャーバンドを見るときに、どのような状態にあるのかが重要になります。
ボリンジャーバンドには相場の状況によって、「スクイーズ」、「エクスパンション」、「バンドウォーク」と呼ばれる3つの状態が見られます。以下それぞれを見ていきましょう。
スクイーズ
ボリンジャーバンドは「収縮」と「拡大」を繰り返しますが、「スクイーズ」とはバンドの幅が収縮している状態です。
スクイーズは、ボリンジャーバンドの上下幅が狭まり、価格の変動率(=ボラティリティ)が低下し、買いと売りが釣り合っている状態です。取引があまり行われていない場合もありますが、盛んに売買されてエネルギーをため込んでいる場合がほとんどです。
スクイーズの後にはエクスパンションすると思って注意深く観察することが重要です。
エクスパンション
エクスパンションはバンドの幅が拡大している状態です。
エクスパンションは、ボリンジャーバンドの上下幅が広がり、価格の変動率(=ボラティリティ)が上昇し、盛んに変われたり売られたりしている状態です。続いてトレンドが発生することが多く見られます。
エクスパンションからバンドウォークへと続く場合も多いので相場の状況をよく見ておきましょう。
バンドウォーク
バンドウォークとは、価格が「±2σの線上」もしくは「±1σと±2σとの間」で推移している状態です。アップトレンドでもダウントレンドでも発生します。
バンドウォークの状況は、強いトレンドが発生していることを表しています。絶好のトレードチャンスと言えます。
ボリンジャーバンドを使ったトレード
スクイーズからエクスパンションのタイミングを狙う
スクイーズの後に勢いよくエクスパンションするのは、売買の均衡が破れて大きくどちらかに傾いたことを意味します。続いてトレンドが発生する可能性も高いので、トレンドの方向をよく見極めて、順張りを行います。
スクイーズからエクスパンションへの移行のタイミングを見極める1つの目安としては、ローソク足が「±2σ」を突き抜けるかどうかというものがあります。ローソク足が±2σに刺さるのを確認しましょう。(緑色の〇印)
その後、「押し」や「戻り」が入る場合が多いので、移動平均線にできるだけ引き付けてからエントリーします。(紫色の〇印)
バンドウォークは、強いトレンドが出ている状態なのでボラティリティを稼ぐチャンスです。利確は、価格が再び移動平均線にタッチしたら行いましょう。(オレンジの〇印)
トレンドの勢いが弱くなると、移動平均線やボリンジャーバンドが横向きに近づいていきますので、傾き具合も参考にしましょう。
【アップトレンドの例】
【ダウントレンドの例】
スクイーズのレンジ相場を狙う
スクイーズでは、売買の方向性が明瞭に出ずに価格がもみ合い、レンジ相場になる場合がよくあります。
このような場合は、ボリンジャーバンドの価格の分布の確率を利用して、逆張りのエントリーを狙うことが可能です。
相場価格が±2σの範囲内に収まる確率は、約95.4%なので、ローソク足が±2σを越えるのは、極めて低い確率になります。そのため、価格はやがて修正されることが考えられます。
ローソク足が「+2σ」と交差したら「売り」、「-2σ」と交差したら「買い」になります。ここでも十分に引き付けてからエントリーすることが大切で、利益確定のボラティリティーが大きくなるとともに、損切も小さな値幅で済むことになります。
エクスパンションが起きることも十分考慮に入れて、必ず損切は設定しておきましょう。
まとめ
それでは、ポイントをもう一度振り返ってみましょう。
・ボリンジャーバンドとは
1.移動平均線と価格のばらつきの幅を段階的に示すバンドで表されるテクニカル指標の1つ。
2.傾きやバンドの拡大・縮小などによって、トレンドの状態を把握することができる。
・ボリンジャーバンドの3つの状態
1.スクイーズはバンドが縮小した状態。エネルギーをため込みエクスパンションへと続くことが多い。
2.エクスパンションはバンドが拡大した状態。ボラティリティが上場しトレンドへ続くことが多い。
3.バンドウォークは価格が「±2σの線上」もしくは「±1σと±2σとの間」で推移している状態。強いトレンドが発生している。
ボリンジャーバンドを使ったエントリー方法
1.スクイーズからエクスパンションへ移行するタイミングを狙い、順張りでエントリー。
2.レンジ相場で±2σとローソク足が交差したら、逆張りでエントリー。損切は必須。
ボリンジャーバンドは、使い勝手の良いインジケーターです。皆さんもぜひ試してみて、勝率アップにつなげていってください。