FXの世界では、勝率よりもむしろ損益率の方が重視されます。どれほど勝率が高くても、たった一回の敗北で今まで積み重ねてきた利益をすべて失ってしまったのでは意味がありません。

FXはハイリスクハイリターンな取引なだけに、たった一度の敗北ですべてを失ってしまうリスクを常に秘めています。

一度や二度、取引に失敗しても、お金さえ残っていれば再度チャレンジすることができます。しかし、全財産を失ってしまっては、再チャレンジどころか、生活すらままならなくなってしまいます。

そのような最悪の事態を防ぐためにも、FXトレーダーには資産の管理能力が求められます。資産管理のノウハウを知らずしてFXを始めるという行為は、防寒具を身に着けないまま寒い冬の外へ出かけるようなものです。ハッキリ言って無謀です。

しかし、資産管理のコツやノウハウ、知識などを習得しておけば、FXのリスクを常に最小限に抑えることができます。ひいては、どれほど難しい相場であっても、資産のほとんどを消失させてしまうような、最悪の事態には陥らないでしょう。

そればかりか、資産管理の方法をおさえておけば、リスクを回避しつつ、上手に利益を重ねることができるようになります。資産管理とは、FXトレーダーが利益を増大させるために必須の技能といっても過言ではありません。

リスクリワードとは?

FXの資産管理を学ぶ前に、まず覚えておきたい知識があります。それがリスクリワードです。

FXにおけるリスクリワードとは、取引における平均的な利益と平均的な損失の比率を指します。例えば、毎回のトレードで平均的に20pipsの利益が獲れる一方で、平均的な損失額が10pipsだった場合、リスクリワードは20÷10=2となります。

一般的に、このリスクリワードの計算によって導き出された数値が、1よりも低ければ損大利小、1よりも大きければ損小利大となります。

FXで利益を残すためには、損失を小さく、利益は大きくなるように取引をする必要があります。トレードをする毎に資産がマイナスになるような手法を採用している限り、資産を増やすことはできないでしょう。

しかし、リスクリワードがプラスになるような手法を採用しているのであれば、継続的に取引を続けることで、やがては資産を順調に増やすことができるでしょう。

FXで資産を増やすためには、勝率も重要ですが、リスクに対してどの程度の利益が獲れるのかを計算し、利益が残るように資産を上手に管理する必要があります。

損益率の計算方法

FXで利益を残すためには、現在使用している手法は果たして利益が残せる方法なのかどうかを常に分析する必要があります。いくら勝てそうな手法だからといって、損益率が低い方法を採用している限り、資産が増えることはないでしょう。ここでは損益率の計算方法を解説します。

損益率を計算するにあたり、まず現在使用している手法の過去の取引データを取得してください。

取引データを調べる際には、1ヶ月の間に利確できた取引と、損切りになった取引をそれぞれ分けてください。

次に、利確となったトレードから得られた総利益を、利確となったトレードの回数で割ってください。
例えば、1ヶ月の総利益が2500pipsで、勝ちトレードの回数が20回だった場合、2500÷20=125となるため、平均利益は125pipsとなります。

平均損失を計算する場合も同じ手順となります。例えば1ヶ月の総損失が2000pipsで、負けトレードの回数が20回ならば、2000÷20=100となりますので、平均損失は100pipsとなります。

損益率の計算式は「平均利益÷平均損失」となります。そのため、今回のケースならば、計算式は125÷100となりますので、損益率は1.25となります。

損益率が1を上回っているので、今回の場合であれば損小利大となる手法を採用していると見なすことができます。

もしも損益率が1を下回っている場合、その手法は損大利小になっていると判断できるため、一度手法を見直す必要があります。

ポジションを保有する期限の設定

FXはポジションを保有しても、決済をしない限り利益も損失も確定しません。含み損が出たとしても、損切りしない限り損失は確定しませんし、利確をしない限り含み益を本物の利益にすることも叶いません。

そのため、トレーダーは一度保有したポジションをどこかの段階で一度決済をする必要に迫られるのですが、一体いつ決済をすれば良いのでしょう?

ポジションを保有すべき期間に正解はありません。各々のトレーダーがもっともベストだと判断できるタイミングで決済はすべきです。

ポジションの保有期間は、それぞれの投資家のスタイルによって異なります。

スキャルピングをするのであれば、保有期間は数分から数時間以内となるでしょう。デイトレードならば、1日から数日程度となります。スイングトレードの場合、数日から数週間となります。ポジショントレードをする場合、数週間から数ヶ月以上、場合によってな1年以上ポジションを保有するケースもあります。

このように、投資家のスタイルによって、それぞれポジションを保有する期間が異なります。FXを始める際には、まず自分はどのスタイルに属するのかを一度確認しておきましょう。

なぜなら、投資スタイルによって、利確と損切りのラインがそれぞれ異なるからです。

トレーダーが獲れる利益は、ポジションを保有する期間が長くなるほど大きくなる傾向があります。その反対で、ポジションの保有期間が短いと、一回あたりに獲れる利益が小さくなります。

では、ポジショントレードのような、期間が無いスタイルがもっとも稼げるのかというと、一概にそうとは言えません。

というのも、ポジションを保有する期間が長くなると、その分だけ損失も大きくなるリスクが増すからです。その反対で、短時間で決済をするスキャルピングの場合、確かに一回あたりに獲れる利益は少ないです。しかし、決済が速い分、相場の急変などに巻き込まれる心配がないため、大損するリスクも低いです。

このように、短期投資と長期投資では、リスクとリターンの大きさが全く異なります。資産管理をする前に、まず自分はどの程度ポジションを保有する前提でFXをやるのか、必ず決めておいてください。

損切りのラインの設定

損切りとは、含み損を抱えたポジションを決済し、損失を確定させる行為です。どれほど難しい相場であっても、損切りをしてしまえばこれ以上リスクに晒される心配がありません。損失を最小限に抑えるためにも、FXを始める際には必ず損切りのラインを設定してください。

損切りのラインは小さければ小さいほど、被害が少なく済みます。では、ちょっとでも含み損を抱えたらすぐに決済した方が良いかというと、そうとも限りません。

まず、為替相場は常に上下に変動しています。そのため、たとえトレンドに乗ることが出来たとしても、一時的に含み損を抱えることがあります。

まったく含み損を抱えることなくトレードで利益を出すことは、たとえプロでもほぼ不可能でしょう。なにより、FXにはスプレッドがあるため、常に含み損を抱えた状態からのスタートとなります。ちょっとでも含み損が出たら決済をするなど、条件を厳しくし過ぎると、本来であれば得られたはずの利益まで逃してしまう恐れがあります。

かといって、損切りのラインを緩く設定すると、思惑が外れる度に毎回大きな損失を抱えることになります。

損切りのラインは、低すぎず高すぎず、許容できる範囲内におさまるようにした方が良いでしょう。

損切りの手法は色々あるのですが、初心者の場合、このぐらいの損失が出たら必ず損切りをするなど、数字を基準にすることをオススメします。

例えば、10pipsの含み損が発生したら損切りをするといった具合です。このように、損切りのルールを数値化すると、いざ損切りすべき事態に遭遇した時に、迷うことなくすぐに損切りができるため、初心者でも確実に損失の拡大を防げます。

損切りのラインはそれぞれの投資スタイルによって異なります。例えば、スキャルピングの場合、5pipsから10pipsほどの損失が出たら、損切りをした方が良いです。デイトレードの場合、20pipsから50pipsの含み損が出たら損切りをした方が良いでしょう。

それに加え、特定の時間が経過したら、損切りをするというルールも設定しておくと、メリハリのある取引ができるようになります。

例えば、スキャルピングをする場合、新規注文を入れてから1時間以内に結果が出なければ、状況に関わらず必ず決済をするというルールを設定するとします。この時間に関する損切りルールを事前に設定し、取引時間を明確に区切っておくことで、相場の急変に遭遇するリスクを抑えることができます。

損切りのラインと取引時間を事前に設定し、ルール化しておけば、想定外のリスクに遭遇する可能性は滅多にないでしょう。

利確のラインの設定

利確とは利益確定のことで、含み益が出ている時にポジションを決済し、利益を確定させる行為です。損切りも利確もやっていることはどちらも同じ決済なのですが、損失が生じる損切りと違い、利確の場合は利益が出るなど、結果に違いがあります。

リスクリワードで1以上の結果を生み出そうと思うのであれば、利確のラインは常に損切りを上回るように設定した方が良いです。

例えば、損切りのラインが10pipsの含み損ならば、利確のラインは含み益が10pipsを上回るように設定しましょう。

仮に勝率が50%で、損切りのラインが10pips、利確のラインが20pipsで、勝ちトレードが5回、負けトレードが5回とした場合、総利益は100pips、総損失は50pipsとなります。つまり、最終的に50pipsの利益を残せる計算になります。

このように、たとえ勝率が半々でも、損切りのラインを利確のラインが上回っている限り、一時的に負けることがあっても、利益を増やし続けることができます。

ただし、相場の状況によっては、含み益が出ているものの、目標としている利確の水準にまで達しない時もあります。このような時に備え、事前に時間に関するルールも設定しておきましょう。

この時間に到達したら、含み益のあるなしに関わらず決済をするという時間のルールを事前に設定しておけば、含み益が少ししか出ていない時であっても、迷いなく決済できます。

確かに含み益が出ている時、決済をせずに放置をすると、やがて相場が動き出すことでまとまった利益が獲れるかもしれません。しかし、その反対で相場が急変し、思惑が外れてしまうと、せっかくの含み益が消えてしまいます。

FXは一寸先が闇の世界です。保有期間が延びれば延びるほど、利益が増えるチャンスが増大する一方で、損するリスクも増大します。余計なリスクを回避したいなら、たとえチャンスがあるにせよ、時間内に決済するようにしましょう。

スキャルピングの利確の目安

短期投資といえば通常はデイトレードのことを指すのですが、スキャルピングはデイトレードよりもポジションの保有期間が短いトレードスタイルです。そのため、世間ではスキャルピングのことを超短期売買と呼びます。

スキャルピングは新規注文から決済までの期間が非常に短く、場合によっては数分で決済をすることもあります。このようにポジションの保有期間が非常に短い投資スタイルのため、一回のトレードで獲れる利益も少ないです。

スキャルピングの利確の目安というと、だいたい10pipsから20pipsほどとなります。状況によってはスキャルピングでも50pipsを狙えることもあるのですが、そのような機会はとても少ないです。

スキャルピングをするのであれば、だいたい10pipsから20pipsを狙うと良いでしょう。

デイトレードの利確の目安

デイトレードはスキャルピングよりもポジションの保有期間が長いというだけあって、一回のトレードで獲れる利益も、スキャルピングよりも大きくなる傾向があります。

デイトレードで獲れる利益の目安というと、だいたい50pipsから100pipsほどです。大きなトレンドが発生している時であれば、100pips以上の利益が狙えるでしょう。ただ、100pips以上の利益を毎回狙うとなると、利確のタイミングを逃してしまう恐れがあります。

デイトレードをするのであれば、80pips前後を目指すと良いでしょう。

スイングトレードの利確の目安

スイングトレードはデイトレードよりもポジションを保有する期間が長いです。そのため、一回のトレードで獲れる利益が非常に大きいのですが、その一方で損失が発生するリスクも大きくなります。

スイングトレードで得られる利益の目安というと、だいたい300pipsから400pipsほどとなります。500pips以上の利益を獲れることもあるのですが、難易度が高いです。なにより、もしも思惑を外すと大損する可能性が高いだけに、スイングトレードをするのであれば300pipsを超えたあたりで利確をした方が妥当でしょう。

まとめ

トレードスタイルによって利確のタイミングが異なるように、スタイルによって損切りのタイミングも異なります。ただ、どのトレードスタイルを採用するにせよ、資産運用のコツに違いはありません。

損小利大の原則を守っている限り、トレードスタイルに関わりなく、利益を増やせるようになるでしょう。その反対で、この原則を守らず、損大利小になるような手法を採用すると、取引すればするほど資産が減ることになります。

FXを始める際には、損失が小さくなるようにしっかりと損切りをしつつ、利益が増えるように利確をしましょう。この資産管理のコツを守っている限り、大損するリスクを回避しつつ、同時に安定した利益を狙えるようになります。