移動平均線ってどんな使い方するのかな?
使い方がいくつもあって、とても役に立つわよ!
よーし! 移動平均線をマスターしてスキルアップするぞ!
移動平均線とは何か
移動平均線とは何でしょうか?
移動平均線(Moving Average)とは、過去のある一定期間のローソク足の終値の平均値をつないで線にしたものです。
世界で一番使われているといってもよいほど、ポピュラーなテクニカル指標の1つで、ローソク足と移動平均線とを組み合わせてチャートを見ると、相場の状況がとても分かりやすくなります。
ローソク足だけのチャートだとつかみどころがなく、トレードのしようがありませんね。
同じチャートに3本の移動平均線を加えてみましょう。するとトレンドの状況やエントリーポイント・イグジットポイントなどが分かりやすくなります。
今回は、移動平均線の活用の仕方について4つのポイントを紹介していこうと思います。これを機会に、移動平均線の使い方をマスターし、これまで見逃していたかもしれないエントリーのチャンスを自分のものにしていきましょう。
テクニカル分析について
テクニカル指標とは、過去の為替レートや時間を計算式に当てはめ、未来の為替レートの予測を試みたツールのことです。
テクニカル指標を用いた分析をテクニカル分析と言います。テクニカル分析は、大まかに分類すると、“トレンドを見る” トレンド系と、“売られすぎ、買われすぎを見る” オシレーター系があります。
移動平均線は、トレンドを見るために使うテクニカル指標の代表的なものです。
移動平均線の4つの使い方
では、移動平均線の具体的な使い方を見ていきましょう。
移動平均線の基本的な使い方
移動平均線の向き、ローソク足と移動平均線の位置関係でトレンドの状況確認ができます。
上昇トレンド→移動平均線が右肩上がりでローソク足が移動平均線の上にある
下降トレンド→移動平均線が右肩下がりでローソク足が移動平均線の下にある。
レンジ(トレンドレス)→移動平均線が横向きでローソク足が移動平均線と重なる。
また、移動平均線の傾きよってトレンドの強さが分かります。
右肩上がりの移動平均線の角度が急角度→力強い上昇トレンド
右肩下がりの移動平均線の角度が急角度→力強い下降トレンド
横ばいの移動平均線→トレンドの強弱はわからない
このように、移動平均線を用いることによってトレンドの状況が分かります。
ゴールデンクロス・デッドクロス
移動平均線の代表的な使い方として、「ゴールデンクロス」や「デッドクロス」と呼ばれるものがあります。
ゴールデンクロスとデッドクロスは、移動平均線どうしの交差の仕方によって、売買シグナルを知る方法です。
ゴールデンクロスは、短期の移動平均線が、中期・長期の移動平均線を下から上に抜けることを言い、買いでエントリーするシグナルになります。
大事な注意点としては、移動平均線が上抜けするとき、中・長期移動平均線がともに上向きもしくは横向きであることです。(1)(2)
中期移動平均線や長期移動平均線が下向きの場合は、短期の移動平均線が再び中期長期の移動平均線とクロスして、時間とともに下降トレンドになることがよくあります。
一方、デッドクロスは、短期の移動平均線が、中期・長期の移動平均線を上から下に抜けることを言い、売りでエントリーするシグナルになります。
ゴールデンクロスと同じく、注意点としては、移動平均線が下抜けするとき、中・長期移動平均線がともに下向きもしくは横向きであることです。(1)(2)
中期移動平均線や長期移動平均線が上向きの場合は、短期の移動平均線が再び中期長期の移動平均線とクロスして、時間とともに上昇トレンドになることがよくあります。
ゴールデンクロスのチャートとデッドクロスのチャートは、移動平均線がパーフェクトオーダーになっています。
パーフェクトオーダーとは、ローソク足に近い順に、短期・中期・長期の移動平均線が並び、同じトレンド方向に向いている状態です。
パーフェクトオーダーは、チャートの時間足だけではなく、より上位の時間足でも同じトレンドが発生していることを意味するので、トレンドの優位性が高い状態になります。
そのため、エントリーのチャンスだといえます。エントリーはトレンドフォローの順張りがもっとも確実です。損切も忘れずに行いましょう。
ただし、移動平均線の順番が違っていたり、向きが1つでも異なっていたらパーフェクトオーダーは成立しませんので、十分に確認するようにしましょう。
下値支持線や上値抵抗線としての移動平均線
移動平均線が下値支持線(サポートライン)や上値抵抗線(レジスタンスライン)として働くことがしばしば見られます。
上のチャートでは、中期移動平均線がレジスタンスラインとして高値を押さえていたり、サポートラインとして安値を支えています。短期移動平均線や長期移動平均線でも同じようなことが見られます。
働きとしては、水平線の場合と同じように、高値の抵抗線や安値の支持線となります。そして、ラインの価格帯で値動きが反転することを利用してエントリーや利益確定を行うことができます。
ただし、移動平均線の価格帯で値動きの反転が必ず起きるとは限らず、短期の移動平均線を突き抜けてより長期の移動平均線で反転することや、まったく反転しない場合もあるので注意が必要です。
あくまでも値動きの反転があるかもしれないので、注目しておくポイントとして考えるとよいでしょう。
水平線のサポートライン・レジスタンスラインについては以前のコラム「ライントレードとは!? FX初心者におすすめの4つライントレード手法を紹介します!」で詳しく紹介していますので、そちらも参考にしてください。
グランビルの法則
グランビルの法則は、もともと株式投資で用いられた、移動平均線を使った大変有名なトレード手法です。もちろんFXにも応用することができます。
グランビルの法則は、値動きと移動平均線との位置関係から、エントリーポイントを示したものです。
グランビルの法則を用いた売りと買いのポイントは次のようになります。
買いのエントリーポイント→1,2,3,4
売りのエントリーポイント→5,6,7,8
グランビルの法則では「買いのポイント」と「売りのポイント」が次のように説明されています。
買いのポイント
法則1:移動平均線が横ばいか、上向きの時に価格が上昇して移動平均線を上抜いたら買い。移動平均線と価格のゴールデンクロス。
法則2:移動平均線が上昇にある中、価格が一度移動平均線を下回りつつも、もう一度上に抜けてきた時が法則2の買いポイント。
法則3:移動平均線が上昇中に、価格が移動平均線に近づく形で下落し、タッチせずにまた上昇に転じた場合が法則3の買いポイント。
法則4:移動平均線が下降している状況で、価格と移動平均線が大きく乖離(かいり)している場合、移動平均線の位置まで戻り、買いとなる。
売りのポイント
法則5:移動平均線が横ばい、もしくは下向き始めたときに価格が移動平均線を下抜いたら、法則5。移動平均線と価格のデッドクロス。
法則6:移動平均線が下向きの時に、価格が一度移動平均線を上抜いたが、戻ってきてまた下抜いた場合が法則6で、売り。
法則7:移動平均線が下を向き、価格が移動平均線に近づいたけれど、移動平均線にタッチできなかった場合は下がっていくので売り。
法則8:リバウンド狙い。移動平均線が上昇している時に、価格が大きく上抜いて、乖離(かいり)したときは移動平均線の位置まで戻る。
グランビルの法則について少し角度を変えて考えてみましょう。
例えば、エリオット波動と組み合わせて考えてみると、買いのポイント1,2,3は、エリオット波動でいえばトレンドの出ている上昇波の第1波、第3波、第5波を狙ったエントリーと見ることができます。第3波、第5波は押し目買いになっています。
また、売りのポイント8は、エリオット波動の第2波を逆張りで狙ったものです。
一方、売りのポイント5,6,7は、エリオット波動でいえばトレンドの出ている下降波の第1波、第3波、第5波を狙ったエントリーと見ることができます。第3波、第5波は戻り売りになっています。
また、買いのポイント4は、エリオット波動の第2波を逆張りで狙ったものです。
移動平均線と値動きとの特徴として、値動きが移動平均線から離れて限度まで達すると、今度は値動きが移動平均線に引き戻されるように動きます。勢いあまって値動きが移動平均線を越えても、再び引き戻されるように動きます。
グランビルの法則には、このような、値動きが移動平均線から離れたり近づいたりする特徴や、値動きが移動平均線を抜けるときの移動平均線の傾き具合なども考慮に入れられています。
初心者の方には、やや難しいかもしれないと思いますが、エリオット波動で置き換えて考えてみたり、ゴールデンクロスやデッドクロスの考え方として部分的に取り入れてみると、活用しやすくなると思います。
まとめ
今回は、テクニカル分析の代表格である移動平均線の使い方を紹介しました。
次のチャートは、冒頭に紹介したローソク足だけのチャートに、ここまで解説した内容を書き入れてみたものです。
移動平均線の4つの使い方についてもう一度まとめてみましょう。
1.トレンドを把握する
上昇トレンド:移動平均線が右肩上がり。ローソク足は移動平均線の上。角度が急なほど勢いが強い。
下降トレンド:移動平均線が右肩下がり。ローソク足は移動平均線の下。角度が急なほど勢いが強い。
レンジ:移動平均線が横ばい。ローソク足は移動平均線と重なる。
2.ゴールデンクロス・デッドクロス
ゴールデンクロス:短期の移動平均線が、中期・長期の移動平均線を上抜ける。中期・長期の移動平均線が下向きの時は要注意!
デッドクロス:短期の移動平均線が、中期・長期の移動平均線を下抜ける。中期・長期の移動平均線が上向きの時は要注意!
パーフェクトオーダー:ローソク足から近い順に短期・中期・長期の移動平均線が並び同じトレンド方向に向く。優位性の高いトレンド状態
3.上値抵抗線・下値支持線としての移動平均線。
移動平均線がサポートラインやレジスタンスラインとして働くことがある。反発を利用したエントリーや利確の目安として利用が可能。
4.グランビルの法則
グランビルの法則では8つの売買ポイントの法則がある。
値動きと移動平均線との位置関係を基本にしてエントリーポイントを探る。移動平均線と価格とが離れたり近づいたりする動きにも注目することで、順張りだけでなく逆張りのチャンスにも利用できる。
今回は、移動平均線について解説しましたが、ローソク足の値動きだけではつかみどころのなかった相場も、移動平均線を利用することいろいろな相場の状況が理解できて、エントリーチャンスは確実に増えるでしょう。
初心者の方は、比較的扱いやすいゴールデンクロスやデッドクロス、パーフェクトオーダーなどを取り入れてみてはいかがでしょうか。新しいチャートの見方ができて、チャンスがきっと増えるはずです!